vCenter Serverのアップグレード(Stage1)
Posted : 09 Sep 2020vCenter Serverのアップグレードは大きくStage1とStage2に分かれる。本稿はStage1までの最低限の手順を記載する。
VMware社の公式情報はvCenter Server のアップグレードを参照のこと。
vCenter Server 7.0 のインストーラで提供されるアップグレードプロセス機能を用いると、ウィザードに従って「ぽちぽち」するだけで vCenter Server のアップグレードが可能である。
vCenter Server をアップグレードするということは、お手元には既存の vSphere 環境が存在するだろう。アップグレードを行った後も、vCenter Server とその他の VMware 社の製品が連携できるか事前に確認することを推奨する。
その他、多数の確認事項があるため、アップグレードを行う前にvSphere 7 アップグレードのベスト プラクティス (78205)を参照のこと。
本稿の環境
本稿では、vCenter Server サービスと PSC の両方の機能を持つ vCenter Server Virtual Appliance 6.7 を vCenter Server 7.0 にアップグレードする。
vCenter Server 7.0 では、vCenter Server サービスと PSC は統合され、異なるホストでの稼働がサポートされなくなった。
既存の環境で「拡張リンクモード」などを使用するために vCenter Server と PSC を異なるホストで稼働させている場合などは入念にvSphere 7 アップグレードのベスト プラクティス (78205)に目を通すことを推奨する。
Stage1の手順
Stage1はvCenter ServerのVirtual ApplianceをESXi上に展開(デプロイ)する工程である。
本稿では利用者が多いであろうと想定される、Windows版のGUIインストーラを前提とし記載する。
ESXiと疎通可能な任意の作業用マシンにvCenter Serverのインストーラ(isoファイル)をマウントする。
インストーラ内のvcsa-ui-installer\win32\installer.exe
を実行する。

Upgrade をクリックする。

EULAを一読し、承諾した後にNEXTをクリックする。

データを引き継ぐ既存の vCenter Server Virtual Appliance の情報を入力する。
項目名 | 設定値 |
---|---|
vCenter Server Appliance | アップグレード対象のvCenterのアドレスを指定する |
Appliance HTTPS port | ポート番号を指定する(デフォルトは443) |
指定された情報に基づき、作業用マシンからESXiへの通信が行われる。

アップグレード対象の vCenter Server Appliance と通信が確立すると、ウィザードの入力欄が拡張される。
項目名 | 設定値 |
---|---|
vCenter Server Appliance | ①アップグレード対象のvCenterのアドレスを指定する |
Appliance HTTPS port | ①ポート番号を指定する(デフォルトは443) |
SSO User name | ①アップグレード対象のvCenter Server管理者ユーザ(UserName@DomainName)を指定する |
SSO Passowrd | ①アップグレード対象のvCenter Server管理者パスワードを指定する |
Appliance (OS) root password | ①アップグレード対象のvCenter Serverのローカルrootユーザのパスワードを指定する(VAMIへのアクセスで使用するパスワード) |
ESXi host or vCenter Server name | ②アップグレード対象のvCenter ServerをホストしているESXi、もしくはvCenter Serverを指定する(アップグレード対象のvCenter Server自体は指定できないため、vCenter Serverが1台しか存在しない場合はESXiを指定する) |
HTTPS Port | ②アップグレード対象のvCenter ServerをホストしているESXi、もしくはvCenter Serverのポート番号 |
User name | ②アップグレード対象のvCenter ServerをホストしているESXi、もしくはvCenter Serverの管理者ユーザを指定する |
Password | ②アップグレード対象のvCenter ServerをホストしているESXi、もしくはvCenter Serverのパスワードを指定する |
複数の接続情報を入力する必要があるため、全体の構成をイラストにした。
①と②で、それぞれどこの接続情報を入力しているか意識する必要がある。


vCenter Server 7.0(アップグレード後のインスタンス)を稼働させるESXi、もしくはそのESXiを管理しているvCenter Serverの情報を指定する。

vCenter Server 7.0(アップグレード後のインスタンス)を格納するフォルダを指定する。

vCenter Server 7.0(アップグレード後のインスタンス)を稼働するホスト、もしくはクラスターを指定する。

vCenter Server 7.0(アップグレード後のインスタンス)のインベントリ名、ローカルrootユーザのパスワードを設定する。

vCenter Server 7.0(アップグレード後のインスタンス)の性能を指定する。
指定する際は公式ドキュメントを参照し、環境に合わせた性能とすること。

vCenter Server 7.0(アップグレード後のインスタンス)の仮想マシンファイル一式(設定、Disk情報など)を格納するデータストアを指定する。

設定値を入力しNEXTをクリックする。
項目名 | 設定値 |
---|---|
Network | vCenter Server Virtual Applianceを接続するポートグループを指定する。 |
IP version | 使用するIPアドレスのバージョン(v4 or v6)を指定する。 |
IP assignment | IPアドレスを手動で設定するか、動的に設定するか選択する。 |
Temporary IP address | vCenter Server(アップグレード後のインスタンス)に一時的に割り当てるIPアドレスを指定する。vCenter Server 7.0のIPアドレスは、アップグレード処理中にアップグレード対象のvCenter ServerのIPアドレスに変更される。 |
Subnet mask or prefix length | vCenter Server Virtual Applianceを接続するネットワークのサブネットマスク、もしくはPrefix(/24など)を指定する。 |
Default Gateway | vCenter Server Virtual Applianceを接続するネットワークのデフォルトゲートウェイを指定する。 |
DNS Servers | DNSサーバのIPアドレスを指定する。複数の場合はカンマ(,)区切り。 |

設定内容を確認し FINISH をクリックする。

【参考】
インストーラの裏側では、指定したESXiに対してvCenter Server Virtual ApplianceのOVAデプロイ処理が行われている

正常に展開処理が完了すると次の画面が表示される。CLOSEかCONTINUEのいずれかクリックする。
- CLOSE : インストーラを終了する
- CONTINUE : 続けてStage 2の処理を実行する
本稿では CONTINUE をクリックして、Stage 2に移る。

これでStage 1の手順は以上となる。続いてStage 2の手順に移る。